出血性ショックの病態と初期対応を徹底解説
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本記事では、循環血液量減少性ショックの一つである、出血性ショックの病態、評価、初期対応について、わかりやすく解説いたします。
出血性ショックとは
出血によって血液循環量の低下が原因で起こるショックのことであり、循環血液量減少性ショックの一つです。
出血性ショックの原因
出血性ショックが起こる原因は大量の出血です。
主に、外傷による血管の損傷や骨盤骨折、大量の吐血・下血、大動脈瘤破裂、消化管出血、術後出血などが原因として挙げられます。
出血性ショックの評価方法
出血性ショックを評価する指標として、Shock Index(SI)があります。
ショックインデックス(ショック指標)とは
出血性ショックの緊急度や重症度を把握するため、バイタルサインから重症度を判断するショックインデックス(SI)を使用し、出血量の予測、重症度判断を行います。
日本では「ショック指標」と呼ばれることもあります。
SIの計算方法
SIは「心拍数」と「収縮期血圧」を用いて求められます。
SI=心拍数÷収縮期血圧
| 重症度 | ショック指数(SI) |
|---|---|
| ClassⅠ | 0.5 |
| ClassⅡ | 1 |
| ClassⅢ | 1.5 |
| ClassⅣ | 2 |
SI=0.5以下を正常とし、1.0以上で出血性ショックと判断します。
例えば、
SI=「心拍数60」÷「収縮期血圧120」=0.5
SI=「心拍数120」÷「収縮期血圧120」=1.0
SI=「心拍数120」÷「収縮期血圧80」=1.5
SI=「心拍数140」÷「収縮期血圧70」=2.0
30 ~ 40%の出血量では、収縮期血圧が90mmHg 以下となります。
SIおよび出血性ショックの重症度分類
| 重症度 | ショック指数(SI) | 推定出血量(ml) | 推定出血量(%) | 心拍数(回/分) | 収縮期血圧 | 症状・所見 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ClassⅠ | 0.5 | 750未満 | 15未満 | 100未満 | 正常(不変) | なし、軽度の不安 |
| ClassⅡ | 1 | 750~1,500 | 15~30 | 100~120 | 正常(不変) | 頻脈、蒼白、冷汗 |
| ClassⅢ | 1.5 | 1,500~2,000 | 30~40 | 120~140 | 低下 | 呼吸促拍、乏尿 |
| ClassⅣ | 2 | 2,000以上 | 40以上 | 140以上 | 低下 | 意識障害、無尿 |
出典:日本救急看護学会監修.日本救急看護学会『フィジカルアセスメント』編集委員会編.
改訂第2 版 救急初療看護に活かすフィジカルアセスメント.へるす出版.2024.
一般的に、人間の循環血液量は体重の1/13(体重の約8%)と言われています。
そして、救急では一般的に体重70kgとして計算するため、循環血液量は約5,000mLとして考えます。
SI=1.0以上を出血性ショック状態と判断するため、循環血液量5,000mLのうち、推定出血量750mL以上、15%以上の血液が失われることでショック症状が現れるようになります。
出血性ショックの症状:ショックの5P
ショックの症状として有名なのが「ショックの5P」です。
1.蒼白(pallor)
2.虚脱(prostration)
3.冷汗(perspiration)
4.脈拍触知不能(pulseless)
5.呼吸不全(pulmonary deficiency)
その他、意識障害や尿量もショック症状として認められるため、観察が必要です。
しかし、循環血液量の減少に伴い、体内では、交感神経反射や血管外の水分を血管内へ移動させる代償機構により血圧の維持が試みられます。その間は脈拍触知不能や呼吸不全は見られず、ショック状態に気付かないことがあるため注意が必要です。
30%以上の出血(ClassIII)になると、交感神経反射による代償が起こらず急激に低血圧、脈拍触知不能となります。
最終的には、細胞障害、DIC、多臓器不全などにより死に至ります。
出血性ショックの初期対応
1. 緊急性の評価と対応
一次評価(バイタルサイン)でショック状態がある場合は、ショック指数で評価し緊急度・重症度を評価します。意識障害に伴う舌根沈下に注意し、呼吸・循環動態をモニタリングしながら緊急時の対応に備えましょう。
2. 酸素投与による呼吸管理
出血により貧血が進行すると、アシドーシスに伴いSpO2 が低下します。そのため、SpO2 値が正常でも酸素投与を行います。
3. 輸血による循環管理
30 ~ 40%の出血量では、収縮期血圧が90mmHg 以下となります。循環血液量の減少により心拍出量が低下するため、輸液治療が行われます。輸液に反応性が乏しい場合は、輸血を迅速に投与できるように調整を行いましょう。
4. 体位調整
出血により循環血液量が低下しているため、心拍出量を増やす目的で体位は水平臥位にし、気道閉塞のリスクを減らすために顔は横を向けましょう。
5. 体温観察と保温
循環血液量減少性ショックでは、末梢組織への酸素供給量の減少により熱産生を低下させます。また、大量の輸液や輸血により、熱放散を増加させ低体温の要因となります。低体温により、血液凝固異常が起こることで出血を助長させるため、保温を行い低体温を回避する必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか。出血性ショックでは急速に症状が進行し、ショック状態に至ります。しっかり病態を理解し、万が一の際に冷静に処置に当たれるようにしておきましょう。
参考
1)日本急性期ケア協会編:日本急性期ケア専門士 公式テキスト 第2版, アステッキホールディングス株式会社, 2022.
2)鈴木 亮,金 史英,妹尾 聡美. ショック.東京医療センター研修医セミナー. https://www.iryogakkai.jp/2009-63-08/505-10.pdf
3)日本救急看護学会監修.日本救急看護学会『フィジカルアセスメント』編集委員会編.
4)改訂第2 版 救急初療看護に活かすフィジカルアセスメント.へるす出版.2024.
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