痙攣の種類と、発症時の対応フローチャート
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本記事では、痙攣の種類とてんかんとの違い、実際の痙攣発症時の対応やアセスメントについてもわかりやすく解説していきます。
痙攣とは
痙攣とは、全身または身体の一部の筋肉が、自らの意思とは別に発作的に激しく収縮することによって起こる神経症候です。原因は脳、中枢神経系、呼吸器系、薬剤系など、さまざなな疾患や原因によって引き起こされます。
てんかんとは?痙攣との違い
てんかんは、脳の神経細胞(ニューロン)の異常な電気的興奮によって繰り返し発作を起こす「脳の慢性疾患」です。これらの発作(てんかん発作)は、運動神経や感覚神経、自律神経、意識、高次脳機能などの神経系が突発的に異常活動することで生じ、さまざまな症状を引き起こします。
痙攣(けいれん発作):さまざまな疾患や薬剤の副作用を原因として、筋肉が発作的に収縮する「症状」
てんかん:脳を原因として、痙攣や意識消失、感覚障害などさまざまな症状を引き起こす「疾患」
痙攣の種類
痙攣は大きく、以下の3つに分類されます。
・強直性痙攣
・間代性痙攣
・強直間代性痙攣
強直性痙攣
強直性痙攣とは、筋肉の収縮が持続し、突っ張ったように見える痙攣です。
間代性痙攣
間代性痙攣とは、収縮と弛緩を繰り返し身体が激しく動いて見える痙攣です。

強直間代性痙攣
そして、その両者が組み合わさった痙攣を強直間代性痙攣と言います。
痙攣の疾患と原因
痙攣を引き起こす疾患は多岐にわたり、脳そのものに原因がある場合と、そうでない場合にわけられます。
脳に原因がある疾患
脳疾患(脳血管障害、脳腫瘍)、感染症(脳炎・髄膜炎、脳膿瘍、破傷風、ボツリヌス症など)、頭部外傷(急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、脳挫傷など)、てんかん性痙攣
脳以外に原因がある疾患
呼吸器系
肺炎、気管支喘息、高二酸化炭素血症
循環器系
虚血性心疾患、心不全、不整脈
代謝性
糖尿病、尿毒症、電解質異常、肝性脳症、急性間欠性ポルフィリン症
薬剤性
アルコール離脱、急性薬物中毒
その他
熱中症、熱性痙攣、妊娠高血圧症候群
またヒステリーや過換気症候群などによって痙攣が起きることもあります。「発作がある程度の長さ以上に続くか、または、短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの」をてんかん重積状態と定義され、脳の二次的損傷に繋がるため、迅速な対応と治療開始が必要となります。
痙攣の対応フローチャート

第一印象
おおまかなABCと意識レベルの評価
プロの視点
・その場を離れず対応要請をする
・ベッドからの転落や外傷予防のため環境調整をする
・咬舌による口腔内出血や嘔吐があれば誤嚥予防のため側臥位とする
・すぐに意識がなければ重度な疾患の可能性があるため、油断は禁物!!
・見て・触って・感じる…五感をフルに使って評価!
一次評価
A(気道):痙攣が起きたらバッグバルブマスク(BVM)・酸素投与の準備をしてジアゼパム投与
B(呼吸):(本人用の座薬(抗痙攣薬など)があれば使用し)再度ABCを評価する
C(循環)
D(中枢神経):意識レベル、瞳孔異常、片麻痺の有無
※ペンライトの光刺激による痙攣誘発に注意!
E(体温):低血糖があれば、50%ブドウ糖を投与し、すぐに是正する
二次評価/三次評価
医療施設内の場合

・中枢神経の問題あり:頭部CTもしくはMRI。症状に応じて、12誘導心電図・心エコー検査、胸部レントゲン、胸~腹部CTを追加
・詳細な問診
・画像読影、検査データの評価
・専門医への引き継ぎ
・専門的治療開始
在宅や施設の場合

以下のような状態の場合は救急要請を検討しましょう。
・呼吸停止やショック状態などABCDEの異常がある場合
・髄膜刺激症状、局所神経症状など頭蓋内疾患を疑う場合
・同じような症状を繰り返す場合
・大きな痙攣がなくても、意識障害や共同偏視が断続的に続くなど重積状態が疑われる場合
予想される検査・処置
・原因検索
・可能であれば、血糖測定
・既往歴・内服薬の確認(家族にも確認)
・急に起き上がらず、臥床状態で慎重に経過を見る
・可能であれば、静脈路の確保・モニター装着をする
・本人用抗痙攣薬(座薬など)があれば投与し経過を見る
痙攣の看護アセスメント
痙攣中または痙攣直後は意識障害があることが多く、本人に問診することが困難なことが多いです。
まずは周囲の人から情報を集め、本人の意識が回復したら、本人に対しても詳細に問診を行いましょう。
① 日中活動時か夜間睡眠中、また発作時の体位など発作の発生状況
② 痙攣が局所性か、局所から全身へ波及、全身性かなど発症様式と経過
③ 症状が持続性か、反復性かなど持続時間
④ 発熱や頭痛、めまい、運動麻痺、視覚異常、悪心・嘔吐、動悸・胸痛、呼吸困難など前駆症状や随伴症状
⑤ 出生時障害、高血圧や脂質異常症、糖尿病、脳卒中や心疾患・頭部外傷などの既往歴、投薬歴、飲酒歴の有無
⑥ てんかん既往がある場合は怠薬の有無、精神状態、疲労の有無
失神および痙攣で行われる検査
12 誘導心電図
心疾患や不整脈の鑑別に必須。安静時には異常が出現しない場合もあるため、心電図をモニタリングして経過を見守る必要がある。(必要に応じて、ホルター心電図や、運動負荷心電図検査を行うこともある。)
血液検査
基本の検査に加え、心疾患や心不全、不整脈に関連するBNP、NT-proBNP、心筋マーカーのCK、CK-MB、心筋トロポニンT、心筋トロポニンI などを調べる。抗痙攣薬内服歴がある場合は、薬物血中濃度の測定も行う。
心エコー、胸部・腹部レントゲン検査
心エコー検査:心臓内部の形状、拍動の異常を調べる。ドップラー法は、心臓弁の異常発見に有効である。
胸部・腹部レントゲン検査:大動脈瘤が疑われる場合などに実施し、心肥大・心拡大、肺水腫の有無を確認する。
頭部画像検査(CT、MRI)
頭蓋内病変の有無を評価する目的で行う。
脳波検査
てんかんを疑う場合は、脳波検査を行う。
脳脊髄液検査
頭蓋内圧亢進症状がなく、髄膜炎や脳炎などを疑う場合に行う。
まとめ
いかがだったでしょうか。けいれんは、小児から高齢者まで幅広い年代で見られる症状であり、原因の精査が重要です。
ぜひ日々の理解を深め、明日からの業務に活かしていきましょう。
参考
1)日本急性期ケア協会編:日本急性期ケア専門士 公式テキスト 第2版, アステッキホールディングス株式会社, 2022.
2)厚生労働省. てんかん対策. 厚生労働省.
3)公益社団法人 日本てんかん協会. てんかんとは. 日本てんかん協会.
4)上鶴ききえ:「けいれん(痙攣)」日本内科学会雑誌 第99巻 第12号,2010,151-156
5)大熊祐一ら:「痙攣,症状・徴候を診る力!第2版-アセスメント,初期対応,観察とケア-」総合医学社,2018,p301-307.