呼吸困難の症状と原因 | お知らせ・急性期ケアコラム | 一般社団法人日本急性期ケア協会

呼吸困難の症状と原因

2026.7.4 症候・初期対応

目次

本記事では、呼吸困難の原因や疾患、実際の対応についてわかりやすく解説していきます。

呼吸困難とは

一般的に呼吸困難は、「呼吸に際して、不快・苦痛を自覚し、呼吸することに大きな努力を必要とする状態」と定義されています。

簡単に言うと、呼吸が不十分で息苦しさ、息が吸えない、息切れがある、努力呼吸がある、という状態を指します。

呼吸困難のメカニズム

まずは正常呼吸のメカニズムを理解しましょう。

①受容器が体内の変化を感知

②情報が中枢の調節器に伝わる

③呼吸の深さや数が決定

④呼吸筋や横隔膜に伝わり呼吸

⑤呼吸が調整される

①受容器が体内の変化を感知

体内の変化を感知する受容器には、以下の2つがあります。

・化学受容器

・その他の受容器

化学受容器

化学受容器は、以下の2つがあります。

・延髄(中枢化学受容器)

:血液中の動脈二酸化炭素分圧(PaCO2)の変化を感知する中枢化学受容器

・頸動脈小体と大動脈小体(末梢化学受容器)

:血液中の動脈酸素分圧(PaO2)の変化を感知する末梢化学受容器

その他受容器

その他に、上気道肺や鼻や喉頭などの上気道に存在し、機械的、化学的な刺激を感知する受容器や、関節や筋肉に存在し運動を感知する受容器があります。

②情報が中枢の調節器に伝わる

受容器が体内の変化を感知しの後、その情報が中枢の調節器に伝わります。

調節器は、以下の2つの場所に存在します。

・呼吸中枢

:延髄と橋に存在し、吸気と呼気のリズムを形成する

・大脳皮質

:随意的な調節

これらの経過を経て呼吸の深さや数が決定し、呼吸器に伝えられ呼吸に至ります。

しかし、受容器→調節器と伝わった呼吸の指令が、実際の呼吸運動と見合わない場合に呼吸困難感を感じます。

呼吸困難の症状と特徴

呼吸困難の症状は多様ですが、息切れ・動悸・胸痛・喘鳴(ヒューヒュー音)・咳嗽(せき)などが典型的な症状です。

また、安静時・労作時・夜間・姿勢変化など、状況によって呼吸の苦しさが変化することも特徴です。

重度では、意識障害や低血圧、胸痛などが随伴症状として出現することもあります。

呼吸困難の原因となる代表的な疾患・病気

呼吸困難は呼吸器疾患だけでなく、循環器疾患や代謝疾患、神経・筋肉疾患、精神疾患(ストレス)などさまざまな疾患が原因で起こる症状と言われています。

呼吸困難を引き起こす疾患は、大きく急性的な原因慢性的な原因に分けられます。

急性の呼吸困難

自然気胸

突然の呼吸困難、胸の痛み、咳などの症状が現れます。

気管支喘息・COPDの急性増悪

気道が狭窄し、発作性の喘鳴や呼吸困難が現れます。

肺炎

初期症状は風邪と似ており、咳、痰、発熱、息苦しさが現れます。

肺血栓塞栓症(肺塞栓症、エコノミークラス症候群)

下肢静脈で形成された血栓が肺動脈を閉塞し、急激な突然の胸の痛み、息苦しさ、動悸、冷や汗などが現れます。

急性心不全(発作性心房細動)

浮腫(むくみ)、動悸、息苦しさ、胸部の不快感・痛み、運動時の疲労感・めまいなどの症状が現れます。

急性心筋梗塞

強い胸の痛みや、胸部の圧迫感が特徴的な症状です。

過換気症候群(パニック障害)

過換気症候群とは、一過性の分時換気量の増大により、呼吸困難、四肢のしびれ、動悸、めまいなどの症状が現れることを指します。

代表的な原因としては、強い恐怖を感じ、動悸、息苦しさ、吐き気、ふるえ、めまい、発汗などの症状に襲われるパニック発作があります。

慢性の呼吸困難

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

労作時呼吸困難や、慢性的な咳や痰、喘鳴や喘息が現れます。

間質性肺炎・肺線維症

徐々に進行する息切れ、労作時呼吸困難、咳が現れます。

神経筋疾患

筋力低下による呼吸不全が現れます。

慢性心不全

動悸、呼吸困難、浮腫(むくみ)が現れます。

貧血

息切れ、動悸、倦怠感、めまいが現れます。

また、疾患によって、以下のような随伴症状を訴えることがあるため、代表的なものを確認しておきましょう。

呼吸困難を訴える患者の対応

患者さんが呼吸困難を訴えた場合は、以下の流れに沿って評価し対応しましょう。

①第一印象

②迅速な一次評価(ABCDEアプローチ)

③緊急性の共有

④生命維持のための行動

 

呼吸困難時の対応は「呼吸困難時の評価と対応について」をご参照ください。

 

呼吸困難を訴える患者の中には、呼吸管理が必要なこともあります。呼吸困難の診断は、肺機能検査、胸部X線、血液検査、動脈血ガス分析などの検査を行う必要があるため、呼吸困難が急に悪化した場合や安静時にも苦しい場合は、早期の医師報告・緊急対応を心がけましょう。

医療機関以外での対応の際は、早めの医療機関の受診を促しましょう。

日常生活指導では、喫煙歴や生活習慣を把握し、必要に応じて禁煙・ストレス軽減・生活習慣の見直し・感染予防が大切です。

まとめ

いかがだったでしょうか。呼吸困難は、呼吸器疾患・心疾患・血液異常・精神的要因など、全身の異常を示す重要なサインです。患者さんからも訴えの多い「息苦しさ」ですが、危険な疾患が潜んでいないか慎重に精査する必要があります。病態を理解し、明日からのケアに活かしていきましょう。

 

参考

1)井上寿子・菅田勝也編.看護覚.看護師からみた救急受診患者-待機型受診要因別にみる-p.500,医学書院,2019.

2)日本急性期ケア協会編:日本急性期ケア専門士 公式テキスト 第2版, アステッキホールディングス株式会社, 2022.