GCS(グラスゴーコーマスケール)とは?JCSとの違いから、事例を用いた評価方法を徹底解説 | お知らせ・急性期ケアコラム | 一般社団法人日本急性期ケア協会

GCS(グラスゴーコーマスケール)とは?JCSとの違いから事例を用いた評価方法を徹底解説

2026.9.17 意識レベル評価

目次

GCSとは、患者の開眼・言語反応・運動反応の3項目から意識状態を評価するスケールです。世界標準として広く使用されており、救急外来やICUなどの急性期医療でも活用されています。
本記事では、GCSとJCSの違い、各評価項目の見方やアセスメントのポイント、実際の症例を用いた評価方法について詳しく解説します。

GCS(グラスゴーコーマスケール)とは?

 GCSは、「E:開眼」「V:最良言語反応」「M:最良運動反応」の3つで評価します。それぞれ、開眼は4段階、言語反応は5段階、運動反応は6段階の評価があり、その組み合わせで点数が決められます。最も軽傷は15点、最重症は3点となります。

合計点数が同じでも患者の状態は様々です。GCSでは合計点だけで表現するのではなく、E〇点 V〇点 M〇点/〇〇点とういふうに、それぞれの評価点数もあわせて表現します。

ただし、ひとつでも判定困難な項目があると評価出来ません。

GCSとJCS(ジャパンコーマスケール)の違い

JCSが「覚醒」を軸に評価したのに対し、GCSでは「開眼」「言語反応」「運動反応」と多軸評価でああるため認知および覚醒反応をより具体的に知ることに長けています。特に異常肢位と言われる「徐皮質硬直」や「除脳硬直」を的確に表現できます。

なお、JCSの評価方法や見方については、JCS(ジャパンコーマスケール)とは?GCSとの違いから、事例を用いた評価方法を徹底解説の記事で詳しく解説しています。

GCSを使う場面

JCSは、比較的短時間で評価できるため主に緊急時の意識レベルの評価に適していると言われています。それに対しGCSは亜急性期~慢性期の意識障害に適しており、予後の評価にも有用です。

病院では救急外来やICU、脳神経外科病棟などで使用されることが多いです。

GCSの評価スケールと項目別アセスメントのポイント

GCSは3つの評価軸で評価し合計点をだしますが、合計点が8点以下は重度の意識障害で脳ヘルニア兆候が疑われます。直ちに医師に報告するとともに気道・呼吸・循環管理に注意が必要です。また合計点が9点以上でも、経過中に2点以上の急激な低下が見られるときも同じく脳ヘルニア兆候を疑い同様の対応が求められます。

GCS評価表

E(開眼:Eye Opening)

例えば、救急車で搬送される患者は、何らかの症状や訴えがあるため目を閉じた状態で搬送されることも少なくありません。そのような場合でも、声をかけてその後しばらくは(15秒程度)自発的に開眼できていれば自発開眼ありE4と評価できます。

声かけをすれば一旦開眼するが、その後声かけをやめるとすぐに閉眼するような状態がE3となります。

目そのものを受傷している(異物や薬物が混入したなど)などで、意識ははっきりしているが目は開けられない場合は、開眼できないためE1となります。

V(最良言語反応:Best Verbal Response)

「見当識あり」とは、その人が今置かれている状況を理解できている状態です。

具体的には、時、人、場所の3つがきちんと理解されていることが必要です。

時は、「何月何日ですか?(月だけでもOK)」で答えられるか、人は自己認識「お名前言ってください」と他者認識「(家族を指さして)この人誰ですか?」「(自分・医療従事者を指さして)この人何する人ですか?」「この人の職業は?」で答えられるか、場所は「ここ今どこにいますか?」で答えられるか。この3つとも正解でして初めて見当識ありとなります。会話はできるが、3つのうち一つでも間違えるのが見当識障害となります。

M(最良運動反応:Best Motor Response)

運動反応に左右差が見られる場合は、良い方(最良)で判断します。

M6の動作の指示は、離握手や開閉眼などなんでも結構です。ただし、患者の手に触れると反射的に手を握りしめることもあります。指示動作は2段階(例えば、手を握ったら離す、目を開けたら閉めるなど)で出します。

M5~M2は痛み刺激による反応です。正確に評価するためには、複数個所に痛み刺激を加えることが必要になることもあります。M5の場合は、胸骨部など体幹部の刺激が、M4の場合は指先など末梢部の刺激が分かりやすくなります。M3(徐皮質硬直)とM2(除脳硬直)は反射なので、基本身体のどこを刺激しても徐皮質硬直または除脳硬直の姿勢となります。

ただし、患者の状態(複数箇所に痛み刺激をすることで状態を悪化させないか)を検討することが必要です。

GCS評価の具体例

症例1

82歳 男性 熱中症疑いで救急搬送されてきた患者。
搬入時、しっかり開眼していて呼びかけに「はい」と返事がある。その後も開眼できている。
自分の名前や生年月日は言えるが対応する看護師の職業が分からず、今どこに運ばれているのか、今日の日付も言えない。
離握手の指示には従える。

Q. この患者のGCS評価はどうなりますか?

A(解説)

自発開眼があり、その後も開眼できているのでE4点。
会話可能だが見当識障害がありV4点。
離握手に従えるのでM6点。

E4 V4 M6 / 14点となる。

症例2

88歳 女性 30分前から言葉が出なくなり右手足に力が入らない様子に家族が気づいた。
しばらく様子を見ていたが症状持続するため救急車で搬送された。
搬入時、目を閉じている。呼びかけに目を開けるが、すぐに閉じてしまう。
「お名前言えますか?」の問いかけに「うーうー」と唸るような発語のみ。
「手を握って話してください」と指示すると、左手は何とかできるが、右手は全く動かない。

Q. この患者のGCS評価はどうなりますか?

A(解説)

呼びかけで開眼するが、すぐに閉じてしまうためE3点。
言語反応は「うーうー」と唸り声のみ、V2点。
運動反応は、右手は全く動かないが、左手は指示に従える。左右差がある場合は良い方で評価するのでM6点。

E3 V2 M6 / 11点となる。

症例3

42歳 男性 屋外で作業中、誤って2mの高さから転落。頭部を打撲し救急搬送された。
呼びかけでは開眼・返事は無く、身体をゆすっても開眼しない。
痛み刺激を加えると開眼はしないが、四肢の異常伸展が見られた。
発語は無い。

Q. この患者のGCS評価はどうなりますか?

A(解説)

痛み刺激にも開眼が無いのでE1点。
言語反応も、全く発語が無いのでV1点。
運動反応は、痛み刺激に四肢の異常伸展(除脳硬直)が見られるのでM2点。

E1 V1 M2 / 4点。 脳ヘルニア兆候が認められる。

すぐに医師へ報告し、バイタルサインの測定、瞳孔所見を確認。必要に応じて、気道・呼吸・循環管理をしながら頭部CTなどの検査の準備が必要となる。

まとめ

 GCSはJCSと比較すると評価がやや複雑で時間もかかるかもしれません。しかし、患者をより客観的に評価できます。

救急搬送されてくるなかには、開眼はしているが、痛み刺激にも全く無反応(痛み刺激に発語は無く、ピクリとも動かいような)という患者もいます。

JCSでこれを評価する場合、自発的に開眼しているので覚醒しているととらえるとJCS1桁。自分の名前は言えないのでJCSⅠ-3となります。
しかし、開眼してるが全く反応ないので刺激でも覚醒しないと評価するとJCS3桁。全く反応しないのでJCSⅢ-300となります。覚醒の判断が個人で変わってくることもあります。

これをGCSで評価すると、自発的な開眼はあるが、発語なく、全く動かないのでE4 V1 M1 となり、患者の状態を的確に表すことができます。

冒頭に述べたように、救急外来やICUなどに携わる方は、ぜひGCS評価を身に着けて頂きたいと思います。

 

参考:GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)|知っておきたい臨床で使う指標[2] | 看護roo![カンゴルー]