JCS(ジャパンコーマスケール)とは?GCSとの違いから、事例を用いた評価方法を徹底解説 | お知らせ・急性期ケアコラム | 一般社団法人日本急性期ケア協会

JCS(ジャパンコーマスケール)とは?GCSとの違いから事例を用いた評価方法を徹底解説

2026.9.8 意識レベル評価

目次

患者の意識状態を表す言葉には、「昏睡・混迷・混濁・錯乱」など様々ありますが、どれが一番状態が悪いのか、人によって解釈が異なることもあります。意識レベルを定量的に評価するツール、これがComa Scaleです。
日本で広く使用されているJCS(Japan Coma Scale:ジャパンコーマスケール)とは、患者の覚醒状態を客観的かつ迅速に評価するためのスケールです。

本記事では、JCSとGCS(Glasgow Coma Scale:グラスゴーコーマスケール)の違い、JCSの評価方法、実際の症例を用いた判断のポイントを詳しく解説します。

JCS(Japan Coma Scale:ジャパンコーマスケール)とは?

JCSは「覚醒」を軸にしたスケールで、主にくも膜下出血や脳梗塞などの脳血管障害や頭部外傷の急性期など、急性の意識障害患者の評価に適しています。

JCS とGCS(Glasgow Coma Scale:グラスゴーコーマスケール)の違い

JCSは「覚醒」を軸とした評価なのに対し、GCSは「開眼」「言語反応」「運動反応」の3つを軸にした評価となります。日本ではJCSが広く使われていますが、海外ではGCSが使用されています。JCSは特に緊急時での評価に適しており、GCSは亜急性期~慢性期の意識障害の評価に適しています。またGCSでは、JCSで表現するのが難しい異常肢位(除皮質硬直や除脳硬直)を的確に表現できます。

なお、GCSの評価方法や見方については、「GCS(グラスゴーコーマスケール)とは?JCSとの違いから、事例を用いた評価方法を徹底解説の記事」で詳しく解説しています。

JCSを使う場面

JCSは病院などの医療機関だけでなく、救急隊など病院前救護(プレホスピタル)でも広く使われています。したがって、看護師としてJCSをしっかりと理解しておくことが必要です。

前述したようにJCSは急性期、特に脳ヘルニアの進行を判定するのに適しています。

現場での患者の第一印象では、このJCSの桁数で緊急度を判断することもあります。第一印象で、患者の意識状態が声掛けでは覚醒しないようなら少なくともJCSⅡー20以上あるということで緊急度を上げた対応が必要になります。もちろん最終的にはきちんとした評価が必要ですが、このJCSの桁数を評価するだけで、その後の迅速な患者対応につなげることができます。

JCSの評価スケールと項目別アセスメントのポイント

 JCSは覚醒の状態を大きく、「Ⅰ:刺激しないでも覚醒している」「Ⅱ:刺激すると覚醒するが刺激をやめると覚醒しなくなる」「Ⅲ:刺激しても覚醒しない」の3つに分け、さらにそれぞれに細かく3段階の状態があります。そのため3-3-9度方式とも言われています。

覚醒している

刺激(声かけや痛み刺激など)しないでも覚醒している状態。状態に応じてⅠー1、Ⅰー2、Ⅰー3の3段階に分かれます。

Ⅰ-2は覚醒しているが、見当識障害がある状態を示しています。見当識ありとはその人が今置かれている状況を認識できているということであり、「時・人(自己認識と他者認識)・場所」の3つがすべて理解できていることです。一つでも認識できていない場合を見当識障害と言います。

意識清明な状態はJCS0と表します。

刺激に応じて一時的に覚醒する

刺激すると覚醒するが、刺激をやめると覚醒しなくなる状態。刺激の程度に応じて、Ⅱー10、Ⅱー20、Ⅱー30の3段階に分かれます。

刺激を与えるときは、軽い刺激(言葉かけ→揺さぶり→痛み刺激)から実施するようにします。

刺激をしても覚醒しない

刺激しても覚醒しない状態。覚醒まではしないが刺激に対する反応で、Ⅲー100、Ⅲー200、Ⅲー300の3段階に分かれます。

Ⅲー200は、「痛み刺激に対し、少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする状態」となっています。この中には異常肢位と言われる「除皮質硬直」「除脳硬直」がありますが、JCSではこの区別が表現しにくく、ここはGCSでの評価の方が適切に表現できます。

JCS評価の具体例

症例を用いて、JCSでの評価を考えてみましょう。

症例1

82歳 男性 熱中症疑いで救急搬送されてきた患者。
搬入時、しっかり開眼していて呼びかけに「はい」と返事がある。
自分の名前や生年月日は言えるが、今どこに運ばれているのか、今日の日付は言えない。
Qこの患者のJCS評価はどうなりますか?
A(解説)開眼があり、呼びかけに返事もできているので「覚醒している状態」であるためⅠ桁と判断できます。
次に自分の名前・生年月日は言えますが、場所・日付が言えない状態なので見当識障害が見られます。

以上のことから、JCSⅠー2と評価できます。

症例2

88歳 女性 1週間ほど前から発熱があり近医で肺炎の診断で治療していた。
その後も発熱は持続、呼吸状態の悪化、意識レベルの低下もあるため救急病院へ紹介となり救急搬送された。
搬入時は開眼無く呼びかけでは開眼・返事は無い。身体をゆするとかろうじて開眼するがすぐに閉眼してしまう。
Qこの患者のJCS評価はどうなりますか?
A(解説)自発的な開眼は無く、返事も無いので少なくともⅡ桁以上となります。
呼びかけでは覚醒しませんでしたが、身体をゆするとかろうじて覚醒するが、すぐに目を閉じてしまいます。

以上のことからJCSⅡー20と評価できます。

症例3

42歳 男性 屋外で作業中、誤って2mの高さから転落。頭部を打撲し救急搬送された。
呼びかけでは開眼・返事は無く、身体をゆすっても開眼しない。
痛み刺激を加えると開眼はしないが、四肢の異常伸展が見られた。発語は無い。
Qこの患者のJCS評価はどうなりますか?
A(解説)自発的な開眼・返事は無く、呼びかけや身体をゆすったり、痛み刺激でも覚醒は見られない。
痛み刺激で覚醒はしないが、除脳硬直と思われる反応がある。

以上のことからJCSⅢー200と評価できます。

まとめ

意識障害を、統一した方法で評価できるのがComa Scaleです。JCSは病院・病院前など幅広く使用されており、継続した観察を続けるためにもJCSでの評価はしっかりと理解しておきましょう。

 

参考:看護roo! 看護ケア 知っておきたい臨床で使う指標【1】
JCS(ジャパン・コーマ・スケール)|知っておきたい臨床で使う指標[1] | 看護roo![カンゴルー]