ペースメーカーの適応・種類・禁忌について徹底解説
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本記事では、ペースメーカーの適応や種類、合併症や日常生活上の禁忌までわかりやすく解説いたします。
ペースメーカーの適応
ペースメーカーが必要となる病気は、「不整脈」です。
不整脈は大きく以下の3つに分類されます。
・脈が速くなる「頻脈性不整脈」
上室性:心房細動、心房粗動、心房頻拍、WPW症候群、発作性上室性頻拍
心室性:心室頻拍、心室細動
・脈が遅くなる「徐脈性不整脈」
洞不全症候群、房室ブロック
・本来の収縮より早期に認められる「期外収縮」
上室性期外収縮、心室性期外収縮
このうち、ペースメーカーが適応となる不整脈は「徐脈性不整脈」です。
洞不全症候群
洞不全症候群とは、心臓のペースメーカーである洞結節に異常が生じることで、徐脈を引き起こす病気です。
洞不全症候群では心房からの信号が出ないため、ペースメーカーを用いることで心房リードがその欠如を感知し、心臓をペーシングします。
房室ブロック
房室ブロックとは、房室結節の機能低下により、心房から心室に信号が伝わらない状態です。
心房は正常に収縮しますが、その刺激が心室には伝わらないため、ペースメーカーの心房リードが心房の正常な動きを感知し、心室リードが心室の無収縮を感知して心室をペーシングします。
ペースメーカーの種類
ペースメーカーには「体外式」と「植込み式」と「リードレス」の3種類があります。
体外式
ペースメーカー本体(ジェネレーター)は体外に出し、電気信号を伝えるリード線のみ体内に入れることから体外式と呼ばれています。
一時的ペースメーカーとも呼ばれ、植込み式ペースメーカーを入れるまでの間、一時的に装着するものです。留置は1週間が限度であり、72時間以上の装着で感染のリスクが高まると言われているため、永続的には使用できません。
植込み式
リード線だけでなく、ジェネレーターも皮下に植め込むため、植込み式と呼ばれています。永久ペースメーカーとも呼ばれ、10年前後の電池寿命がありますが、電池の交換により永続的に留置可能です。
リードレスペースメーカー
名前の通りリードがなく、2㎝程度のカプセル式のペースメーカーを右心室に留置させます。埋め込む際の創部のトラブルや、リード線のトラブル、感染症リスクがないことが特徴です。10年前後で電池寿命がくるため、新しいペースメーカーへの交換が必要となります。
しかし、リードレスペースメーカは大腿静脈からカテーテルを入れるため、心臓までの静脈が閉塞している場合や三尖弁を機械弁に置換している患者さんには使用できません。
ペースメーカーのモード
ペースメーカーのモードとは、刺激(ペーシング)、感知(センシング)、反応様式(抑制、同期など)の組み合わせをアルファベット3文字で表したコードです。
代表的なモードとして、AAI、VVI、VDD、DDDなどがあり、患者さんの症状や状態によって使い分けます。
このアルファベット3文字が、それぞれ何を意味するのかを理解することが大切です。
・最初の文字
刺激電極の位置(ペーシング部位)
A:心房
V:心室
D:両方
・2番目の文字
自己心拍を感知する電極の位置(センシング部位)
A:心房
V:心室
D:両方
・3番目の文字
自己心拍に対する反応様式(センシング時の反応形式)
T:同期型
I:抑制型
D:両方
を示します。
ペースメーカーの合併症
代表的な合併症として、ペーシングフェイラー、感染、気胸などが挙げられます。
ペーシングフェイラー
ペーシングフェイラーとは、何らかの原因によるペースメーカーの作動不全を指します。リード先端位置の移動、ペースメーカの故障、設定の不具合などさまざまな原因が考えられます。
感染
創部の状態、血種の有無や程度をしっかり経過観察しましょう。また、シャワー等で創部を清潔に保つこと、優しく拭くなど日常生活指導も大切です。
気胸・心タンポナーデ・心不全
リードを入れる際の気胸、リード穿孔による心タンポナーデや気胸、手術侵襲による心不全を引き起こすリスクがあります。胸痛有無、SpO2の低下、呼吸音の確認などしっかりアセスメントを行いましょう。
ペースメーカーの禁忌
電子機器
ペースメーカーが電気機器の影響を受け正常に作動せず、めまいやふらつき、息苦しさなどの症状が出現することがあります。これを電磁干渉と言います。電磁波によるデバイスの動作異常により身体症状が出現した際は、使用を中止しすぐに機器から離れましょう。
・電気機器
感電や漏電はペースメーカーの故障の原因になることがあります。家庭で使用する電気機器には必ずアースを接続し、漏電の疑いがある機器には触れないようにしましょう。
また、電気風呂、低周波治療器、医療用電気治療器など、体内に電流を流す機器は使用してはいけません。
・IH調理器・IH炊飯器など
ペースメーカーやICDを近づけないよう注意しましょう。
・携帯電話
携帯電話の電波も干渉の原因となることがあります。通話時や携帯の所持時は、植え込み部から15cm以上離すようにしてください。胸ポケットや首から下げる使い方をしていはいけません。
また、小型無線機やトランシーバーなどの使用も控えましょう。
・盗難防止装置(電子商品監視システム)
図書館や店舗の出入口に設置されているゲート式の装置では、立ち止まらずにそのまま通過するようにしましょう。
・スマートキーシステム
車から22cm以上離して使用しましょう。
・公共交通機関でのICカード利用
SuicaやICOCAなどのICカードは、改札機や読み取り機から12cm以上離して使用するようにしましょう。
・MRI
原則的にMRIの撮影は行えませんが、条件付きで撮影可能なデバイスもあります。受診の際はペースメーカー手帳等を持参し、医療従事者に伝達しましょう。
運動
激しい腕の動きや重い荷物の持ち上げ、ぶら下がり健康器の使用などは避けましょう。
運動や作業の内容によってはデバイス損傷につながることがあるため、医師と十分に相談することが大切です。
運転
警察庁交通局運転免許課では、ペースメーカーやICDを装着している方の運転に関する基準が定めています。運転前に必ず内容を確認しておきましょう。
また、電気自動車の急速充電器は強い磁場を発するため、使用は避け、充電設備にはできるだけ近づかないようにしてください。
旅行
空港の金属探知機に反応することがあります。保安検査を受ける際は、ペースメーカーやICDの手帳や証明書を係員に提示し、装着していることを伝えるようにしましょう。
その他
・植え込み部位の圧迫を避ける
鉄棒運動やシートベルトなどで植え込みが圧迫されないように注意しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。ペースメーカーは、不整脈による心拍数低下を補い、心臓の働きを安定させる重要な治療法です。種類やモード、禁忌を理解しておくことで、患者さんの安全を守るケアにつながります。学んだ知識を明日からのケアに活かしていきましょう。
参考
https://arrhythm.umin.jp/treatment/device/index.html
https://iwakuni.hosp.go.jp/junkanki-pm-hitsuyou.html
ハートナーシング3 メカ子と学ぶ ペースメーカ・ICD・CRT