神経原性ショックとは?原因と症状、対応について解説
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皆さんは「神経原性ショック」と聞いてどのような病態を思い描かれますか?
神経原性ショックとは脊髄損傷などによって自律神経の働きが障害され、血圧低下や徐脈を引き起こすショックです。
ここでは「神経原性ショック」の症状や原因、他のショックとの鑑別、初期対応・治療などについて、分かりやすく解説していきます。
神経原性ショックとは?
神経原性ショックとは上位胸椎より高位の脊髄損傷によるショックで、自律神経系の失調によって引き起こされた末梢血管弛緩により血圧が低下することが特徴です。
ショックの分類としては血液分布異常性ショックの一つになります。
神経原性ショックの症状について
特徴的な症状は「低血圧」と「徐脈」です。四肢の末梢は暖かく乾燥していることも他のショックとは違う特徴です。
この「低血圧」「徐脈」に伴い、冷や汗・動悸・意識障害・痙攣などを起すこともあります。
初期には尿量の減少や倦怠感が現れることもあります。
神経原性ショックの原因
主な原因は、上位胸椎より高位の脊髄損傷や脳挫傷による自律神経系の失調です。
特に外傷による脊髄損傷が多く、損傷部位より下の交感神経の働きが低下することで、血管の収縮機能が失われ、末梢血管が弛緩し血圧が急激に低下します。
神経原性ショックの鑑別・検査について
神経原性ショックでは他のショックとの鑑別が重要になります。
外傷による脊髄損傷や脳挫傷が原因となるので、まずは出血性ショックとの鑑別が必要です。
また、「低血圧」「徐脈」を来すショックとしては心原性ショックも考えられます。徐脈性不整脈や急性心筋梗塞で特に右室梗塞などの場合、この「低血圧」「徐脈」を伴うことがあります。
また、脊髄ショックとの鑑別も重要です。脊髄ショックは一過性の脊髄反射消失や弛緩性麻痺を特徴として、神経原性ショックとは病態が異なります。
画像診断としては、脊髄損傷が疑われる場合、MRIやCTなどで損傷部位や程度を確認します。合わせて、血液検査、心電図、胸部X線検査などでショック全般の診断と重症度の評価も行います。
まとめると、神経原性ショックの診断は、低血圧・徐脈・温かい皮膚といった特徴的なバイタルサイン、神経学的評価、画像診断を総合的に判断し、他のショックと鑑別していくことが重要です。
神経原性ショックの対応・治療について
低血圧・徐脈など循環動態の安定化と脊髄損傷などの原因疾患への対応が中心となります。
初期対応について
まずはショックの患者の対応として、全身状態のモニタリングを行い呼吸・循環管理を行います。意識レベルの変化に注意しながら、尿量や腎機能のチェックも行います。
低血圧に対しては、体位をトレンデンブルク体位(頭低位)とし輸液療法を実施します。神経原性ショックでは輸液単独での効果は限定的なため、血管収縮薬を早期に投与します。
徐脈に対しては、アトロピンなどの副交感神経遮断薬の投与も考慮します。
脊髄損傷が原因の場合は、明らかな脊髄圧迫や不安定型骨折があれば、24時間以内の早期除圧術が推奨されます。
薬物治療について
前述したように、低血圧に対して輸液を実施しますがこれだけでは効果は限定的です。トレンデンブルク体位をとりながら、ノルアドレナリンなどの血管収縮薬を早期に投与します。
徐脈に対しては、アトロピンなどの副交感神経遮断薬の投与を考慮します。
これらの薬剤は循環動態に影響しますので、当然モニタリングをしたうえで、患者の状態を注意深く観察しながら投与します。
まとめ
神経原性ショックでは、他のショックとの鑑別が重要です。
また、ショックの対応をしつつ脊椎や他の骨折などの専門的な治療も必要になります。自施設で治療が完結できない場合は、高次医療機関への搬送なども考慮が必要です。
参考:
1.一般社団法人 日本救急医学会 医学用語解説集 神経(原)性ショック 一般社団法人 日本救急医学会一般向けホームページ:用語委員会
2.Medical DOC 「神経原性ショック」「神経原性ショック」の原因をご存じですか? なりやすい人の特徴を併せて医師が解説 | メディカルドック